本研究は,「脂質酸化能の低下が肥満につながる」という仮説を解明するため,脂質酸化能に対する食事と運動の相互作用について,食事摂取状況を統制した条件下でヒューマンカロリメーターを用い,24時間のエネルギー代謝量や脂質酸化量をモニタリングして,安静時や運動後にエネルギー基質がどのように選択されるかを検証することを目的としている. 本年度は,前年度に引き続き,本試験を実施した.ヒューマンカロリメーター入室前に,問診・診察及び身体組成測定,基礎代謝量,採血,OGTT(糖負荷試験),筋力測定,最大下運動負荷試験,アンケート調査を行う事前測定を行った.事前測定を行ったあと,対象者は,ヒューマンカロリメーター入室2日前から高糖質食を摂取し, 3日目の夕方にヒューマンカロリメーターに入室し,24時間の測定を行った.4日目はヒューマンカロリメーター内で高脂肪食を摂取し,決められた時間に自転車運動を行った.ヒューマンカロリメーター内では,座位安静及び食事,採尿,自転車運動,就寝といった決められた行動以外は,自由行動とした. 本年度は,ヒューマンカロリメーターの質量分析計が長期にわたって故障し修理していたため,測定実施可能な期間が短く,10名の被験者をリクルートするにとどまった.測定を実施していく中で,1名の被験者が体調不良によりドロップアウトしたため,実際には9名のデータを得た.したがって,当初の測定実施目標対象者数20名に対し,昨年度と併せても若干及ばなかった. 測定を完了した15名は,6名が習慣的に運動を行っている閉経後中高年女性,9名が習慣的な運動を行っていない閉経後中高年女性であった.
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