研究課題/領域番号 |
11J40189
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
小越 咲子 福井大学, 教育地域科学部, 特別研究員(RPD)
|
キーワード | 発達障害 / 発達障害支援 / 支援者支援 / ICT / 社会性 / ソーシャルトレーニング / 表情 |
研究概要 |
1. 発達障害児者と支援者を支援するためのICTシステム開発について ・行動履歴データベースの解析より、子どもの状態の把握が可能となった(スモールステップでの向上がグラフ化される等、可視化による状態把握が可能となった)が、検討会の保護者の意見から、担任との密な連携、やりとりが有効であるのは、小学校低中学年までであり、小学校高学年10歳以上からは、(1)本人の自己理解を促すためのシステムが必要、(2)保護者の学び、成長を支えるシステム(個別ニーズに応じた専門家や支援者との協働による保護者支援体制を個別ケースに応じて組織化するシステム)の必要性が浮かび上がった。 上記(1)を実現させるために発達障害者のためのICTを用いた5W1Hを用いたポジティブな記憶を想起させる日記帳システムの開発中。上記(2)を実現させるために、保護者支援を中心とした親の学びを支援する自己創生型の協働型支援システムの開発を行い現在運用中 2. 新しい検査法による生理的特徴(認知・脳機能)の検討 発達障害児の多くでつまづきのある社会的認知能力に焦点をあて、特に模倣行動と、他者の表情、感情の理解、表情表出の能力を測定する課題検査を開発 3. ソーシャルトレーニングソフトの開発 ・1.2.の分析結果を保護者・専門家・支援者と事例検討会で検討し、発達障害児の認知・脳機能の特徴に基づく支援として、発達障害児の苦手な部分を強化するための、相手の表情から感情を推し量ることができるような訓練と状況から援助行動を察することができるようなソーシャルスキルトレーニングソフトの開発を行った
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学校と家庭をつなぐ発達障害者支援のケータイシステムについて利用者拡大のための啓蒙啓発活動を行ってきたが、利用者の伸びが少なかった。しかし、その対策を事例検討会などで検討し、保護者の支援、親の学びを支援する協働型、自己創生型システムの開発を行い、現在実運用し有効性を確認している。 社会性認知能力を測るため、生理信号(脳波、顔面筋)を用いた課題検査を開発し、大学生の被験者で検査を実施し、課題の有効性を確認できた。 上記から得られた知見より、社会性育成のためのソーシャルスキルトレーニングソフトの開発を行い、発達障害児を対象とし事例研究としてソフトウェアの有効性、妥当性の検査を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
ICTシステムに関しては、ユーザビリティを考慮しながら、開発をスパイラルモデルで行う。脳波など生理信号を用いた課題について発達障害児で検査を行い、有効性、妥当性の確認を行う。社会性育成のためのソーシャルスキルトレーニングシステムの開発を引き続き行い、ICTシステムを用いた行動データ、生理信号を用いた課題検査の結果、ソーシャルスキルトレーニングシステムの学習結果を統合させ、発達障害児の個別ニーズに対応できる統合支援システムを構築する。
|