研究概要 |
平成23年度の研究成果は大きく二点からなる.研究論文"Bundling Decision in Procurement Auctions with Risk-Averse Suppliers"の作成と国際学術雑誌への投稿,および研究論文"Optimal Design of Scoring Auction"の作成である. 一つ目の論文では,公共調達において用いられている二種類の調達方式について,ゲーム理論によるモデルを構築した上で,各方式のパフォーマンスの比較分析を行っている.これらのプロジェクトは,設計,建設,運用といった複数のフェーズからなることが通常であり,調達主体は入札を分割すべきか一括して実施するかの選択に迫られる.この状況を反映し,理論モデルにおいて調達主体は,「一括方式」および「非一括方式」と呼ばれる二種類の調達方式を選択肢として持つ.このとき,均衡において調達主体の利得および社会厚生をより高める調達方式がどちらになるかについて,各種の外生変数に関する十分条件を導出している. 二つ目の論文では,「スコアリングオークション」と呼ばれる入札方式について分析を行っている.従来は,調達主体が調達対象(橋や道路)の品質を指定した後,参加業者が価格を入札して,最も低い価格を付けた業者が落札するというルールが通例であった.スコアリングオークションでは,参加業者は価格のみならず自らが保証する品質水準も同時に入札する.各業者の入札した価格と品質の組み合わせに対して,あらかじめアナウンスされた評価基準に基づいてスコアが付けられ,最も高いスコアを付けた業者が落札する.当論文の目的は,あらゆるメカニズムの中でスコアリングオークションが最も高い均衡利得を調達主体にもたらすか,もしもたらすのであれば如何なる評価基準を設計すべぎか,を明らかにすることである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
一つ目の論文は,改訂を終了させた後,国際学術雑誌International Journal of Industrial Organizationへの投稿を完了させており,現在,返答を待っている状態である.また,二つ目の論文は,2012年4月末に国際学術雑誌への投稿を完了させる予定である.これは,当初の計画以上に研究が進展している状況である.
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今後の研究の推進方策 |
二つ目の論文について,同トピックを専門的に研究している研究者のワークショップで,自身の研究について発表する予定である.そこでのコメントを参考に,自身の研究を深化させる.また,2012年7月末に,トルコのイスタンブールのゲーム理論学会に参加し,自身の研究について発表する予定である.国内外の研究者からのコメントを得ることが期待できるため,それを参考に論文を改訂する.
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