電磁プローブによるラムダハイパー核の研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12002001
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 橋本 治 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50092292)
• 研究分担者: 藤井 優 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30302079) ; 中村 哲 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50280722) ; 加藤 静吾 山形大学, 理学部, 教授 (70013422) ; 田村 裕和 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10192642) ; 高橋 俊行 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50281960)
• キーワード: ストレンジネス核物理 / ∧ハイパー核 / ∧ハイパー核構造 / ハドロン間相互作用 / (e,e'K+)反応 / CEBAF / 中性K中間子生成

研究概要

本研究は、ラムダ・ハイパー核を電磁相互作用によって研究し、"奇妙さ"量子数を持つハドロン多体系のユニークな構造、ラムダ核子間相互作用を究明することを目的とする。我々は最近KEKにおいて(π+、K+)反応の特長を生かしたラムダハイパー核研究を成功させ、高精度高効率分光研究を確立した。本研究では中間子ビームの対局にある、電磁相互作用によるハイペロン生成反応によるラムダハイパー核生成過程の特長を最大限に生かし、∧ハイパー核構造の定量的研究を質的に発展させることを目標とする。そのため、1、米国ジェファーソン研究所で高エネルギー高性能電子線ビームを用いた(e,e'K+)反応によって300keVのラムダ・ハイパー核分光を確立する。特に、重い∧ハイパー核束縛状態の構造を精密に測定し核内におけるストレンジクォークの役割を究明するとともに、ラムダ核子相互作用を明らかにする。このため本研究においては(e,e'K+)反応実験を実施するための高分解能K中間子スペクトロメータ建設が最重要である。本年度は、この本研究で明らかにされた新方式の測定法を取り入れたスペクトロメータの基本設計がおこなわれ、一部磁石等の製作を開始した。また、要求性能を満たす粒子飛行時間測定器等の検出器の開発、デザイン、テストが進められた。一方、2、東北大学原子核理学研究施設1.2GeV周回電子線を用い標識化光子による1GeV近傍でのストレンジネス生成素過程を中性K中間子生成反応に着目して究明し、電子線ビームによる∧ハイパー核生成過程解析上必須のデータを確立することも本研究の目的である。このため、K中間子スペクトロメータの検出器系の整備が進められ、平成13年度に行うテスト実験の準備が完了した。

研究成果

• [文献書誌] H.Park,O.Hashimoto,K.Maeda,T.Takahashi, 他: "Lifetime measurement of medium-heavy ∧ hypernuclei"Phys.Rev.. C61. 054004 (2000)
• [文献書誌] O.Hashimoto: "Retorospect and prospect of hypernuclear physics"Proc.of KEK-Tanashi Int.Nat'l symposium, "Hadrond nuclear physics with electromagnetic probes". 137 (2000)
• [文献書誌] T.Takahashi,Y.Fujii,O.Hashimoto, 他: "Spectroscopy of light ∧ hypernuclei"Nucl.Phys.. A670. 265 (2000)
• [文献書誌] S.Ajimura,O.Hashimoto,K.Maeda,T.Takahashi, 他: "Symmetry in the non-mesonic weak decay of polarized 5∧He hypernucleus"Phys.Rev.Lett.. 84. 4052 (2000)
• [文献書誌] H.Outa,O.Hashimoto,K.Maeda,T.Takahashi, 他: "Mesonic and non-mesonic decay widths of 12∧C"Nucl.Phys.. A670. 281 (2000)
• [文献書誌] H.Tamura,O.Hashimoto,T.Takahashi, 他: "Observation of a spin-flip M1 transition in 7∧Li"Phys.Rev.Lett.. 84. 5963 (2000)
• [文献書誌] O.Hashimoto: "Reaction Spectroscopy of ∧ hypernuclei"Proceedings of the APCTP Workshop (SNP'99). 84. 4052 (2000)