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2001 年度 実績報告書

神経細胞特異的ポリオウイルス感染機構と病原性

研究課題

研究課題/領域番号 12002004
研究機関東京大学

研究代表者

野本 明男  東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70112670)

キーワードポリオウイルス / 感染モデルマウス / ポリオウイルス受容体 / 体内伝播 / 血液脳関門 / 神経軸索輸送 / 神経病原性 / IRES
研究概要

ヒトのポリオウイルス受容体(hPVR)として機能する分子として2つのisoform(hPVRαとhPVRδ)が存在している。hPVRαとhPVRδは、スプライシングの違いによって生じ、前者の方が大量に産生されるメジャーなhPVRである。両分子とも細胞外領域および膜貫通領域のアミノ酸配列は同一であるが、細胞質領域内に一部異なるアミノ酸配列が存在している。このアミノ酸配列の違いに着目したところ、hPVRαのみに上皮細胞特異的なクラスリンアダプター複合体AP-1Bのサブユニットμ(μ1Bと呼ぶ)と結合し、basolateral側へsortingされるためのシグナル(チロシンを含むモチーフ)が存在することを見出した。そこで、極性細胞を使用したhPVRαとhPVRδの局在性を観察し、予想が正しいことを証明した。PV感染の最初の標的細胞が消化管の粘膜上皮細胞であるならば、管腔側からのPV感染には、マイナーなhPVRであるhPVRδが主に関与していることを示唆している。
ポリオウイルスは、細胞質で複製するRNAウイルスであり、核の機能の関与は、あるとしても少ないと考えられてきた。しかしながら、本研究において、通常核に局在している分子の多くが、ポリオウイルス感染により細胞質へ分布を変えることが明らかになった。一方、ポリオウイルスによる細胞変性効果に中心的役割を果たすと考えられていた2Aプロテアーゼを発現させたところ、その局在は核であることが明らかとなった。このことは、2Aプロテア-ゼこそ、核・細胞質間の物質移行に影響を与える分子であることを示唆している。HAタグ付きの2Aプロテアーゼをコードするポリオウイルスを作製し、HeLa細胞およびSK-N-SH神経細胞で発現させ、感染細胞内で2Aプロテアーゼが確かに核へ移行することを明らかにした。ポリオウイルスによる細胞変性効果を分子レベルで明らかにする基盤が確立したと考えている。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] K.Murakami et al.: "Down regulation of translation driven by hepatitis C virus internal ribosomal entry site by the 3' untranslated region of RNA"Arch. Virol.. 146(4). 729-741 (2001)

  • [文献書誌] Q.Jia et al.: "Molecular genetic analysis of revertants from a poliovirus mutant that is specifically adapted to the spinal cord of mice"J. Virol.. 75(23). 11766-11772 (2001)

  • [文献書誌] S.Ohka et al.: "Basolateral sorting of human poliovirus receptor α involves an interaction with the μ1B subunit of the clathrin adaptor complex in polarized epithelial cells"Biochem. Biophys. Res. Comm.. 287. 941-948 (2001)

  • [文献書誌] S.Ohka, A.Nomoto: "Recent insights into poliovirus pathogenesis"Trends in Microbiology. 9(10). 501-506 (2001)

  • [文献書誌] Q.Jia et al.: "Expression of brain-derived neurotrophic factor in the central nervous system of mice using a poliovirus-based vector"J. Neuro Virology. 8(1). 14-23 (2002)

  • [文献書誌] A.Nomoto, I.Arita: "Eradication of poliomyelitis"Nature Immunology. 3(3). 205-208 (2002)

  • [文献書誌] S.Ohka, A.Nomoto: "Progress in polio eradication : Vaccine strategies for the end game"(F. Brown ed.) Karger. 244 (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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