今回の研究は平成11年度は受けた助成で購入した軍事偵察写真に加えて、アメリカ地質調査所での衛星画像を入手して比較検討を行った。 インダス川流域では中流で塩害の最も激しいファイサラバード周辺にしぼり、80年代後半の衛星写真を購入し、画像処理をして軍事偵察衛星写真と比較した。12月の現地調査では、自動車を利用してメイン水路にそって広域の土地利用観察と、塩害地・湛水地となって放棄されたの農地を耕作する農民への聞き取りと、農業水利局での概況把握を行った。綿作が減少し、サトウキビが増加している様子が観察された。 ガンジス川流域では衛星写真・軍事偵察衛星写真を持参しながら、2001年2月にバングラデシシュのメグナ河口チョール(中州)から発達したションディープ島で現地との照合を行った。河川浸食で沿岸耕地が塩害で塩が噴出し放棄されていること、やや内陸に入ると、土地集約度高めるために個人がため池を造成してボロを作付けがみられたこと、東部に新たな堆積地が形成されているため中央部に住居を構えて出作り耕作を行っていること、島の中心機能が西部から塩害のない中央部に移動したが、なお人口超過密なため、島外や中東への出稼ぎが顕著であることが判明した。さらにガンジス中流ではインドのデリーからアグラにかけての小麦作地帯の土地利用を衛星写真と照合した。また、大阪市立大学経済研究所、アジア経済研究所等で当該地域の郡レベルの農業統計を収集した。
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