近年のゲノム解析の進歩に伴い、ヒト個人による塩基配列の違いを高速に解析する技術の開発が求められている。従来、塩基配列の相違は試料DNAと標識された既知DNAとハイブリッド形成をさせることにより検出されてきたが、既知DNAの標識方法として用いられてきた蛍光標識法、酵素標識法、放射性同位元素標識法などの方法が用いられてきたが、感度、安定性などで欠点があることが知られている。 そこで、本研究では既知DNAを磁性体微粒子により標識することにより、高温超伝導SQUIDを用いて特定の塩基配列を持つDNA分子を検出するシステムを開発することを試みた。既知DNAをアレイ状に配列したDNAチップのモデルを作成するために、まず、真空蒸着によりガラス基板上に金のパターンを作成し、チオール基を持つビオチンを金表面上に固定した。その後、ビオチン結合部位を持つストレプトアビジンを加え、さらにビオチンで修飾されたDNAを固定した。その際、他の末端にはDigoxigeninで標識し、抗Digoxigenin抗体を用いてDNA分子に磁気微粒子を結合した。作成したDNAチップを蛍光顕微鏡で確認した上で、平成11年度に開発した磁気微粒子検出システムを用いて測定した。その結果、DNAを固定した部分と信号強度が高い部分が一致し、また、DNA吸着量と信号強度がほぼ比例する結果が得られた。このことは磁気標識されたDNAをSQUID磁気センサにより検出できることを示している。
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