初めに、抗原によるB細胞認識を利用した効率的モノクローナル抗体作製法(新規法)の生体外免疫法への応用について検討した。具体的には、生体外免疫法によって抗原感作されたB細胞が膜表面上に抗原特異的レセプターを発現する可能性について検証を行った。その結果、3-5日間の非常に短い生体外免疫期間においても抗原によって感作されたB細胞が存在することを、可視的に明らかにすることに成功した。そこで、生体外免疫法を利用した低分子量機能性抗原に対するモノクローナル抗体の作製を試みた。一般に、低分子量機能性抗原は抗原性が低く、また、しばしば毒性を有することがあるため生体内免疫法が使用できない場合が指摘されている。そのため、モノクローナル抗体作製が非常に困難とされている。本研究では、将来の重要性を考慮して、アルツハイマー病関連タンパク質プレセニリン1に存在するペプチド配列および環境ホルモンの1つであるジ-2-エチルヘキシルフタール酸(DEHP)を低分子量機能性抗原として選択し、研究を行った。その結果、全ハイブリドーマ中、平均して40〜50%の高い効率で目的のモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを作製することに成功した。この結果は、新規法の生体外免疫法および低分子量機能性抗原への応用を実証するものであり、将来は、この方法を利用した疾病診断および環境ホルモン等の迅速定量へと発展させたいと考えている。
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