高圧力としては50MPa以上300MPa以下のいわゆる可逆的変化領域と350MPa以上(700MPa以下)の不可逆的領域およびそれらの中間的領域の3領域に区分して検討した。これらの領域ではすでに単純酵素系では通常条件下とは大変異なる触媒機能の発揮されることが知られており、その根源となる構造上の変化をとらえ、触媒・分子認識能の詳細な変化を調査した。 測定対象としては、前年度に引き続き、従来申請者がその機能について十分な研究経験を積んできたプロテアーゼ反応とりあげる一方、アミラーゼ、クレアチンキナーゼなどを対象として加えて検討した。 方法論としては、タンパク質-標的分子間相互作用の解析と通常の反応速度論的解析とを常圧・高圧用の吸光度法・蛍光光度法、迅速反応解析装置等によって行うと共に、構造的解析には高圧下、復圧下での蛍光測定(in situおよびex situ)に加え、蛋白質のプロテアーゼ分解を行い、分解個所の特定をシークエンサー・(常圧での)NMR解析により行った。さらに、アフィニティーラベル法に使用する標的分子の基礎的側面を検討するとともに、高圧下での低温変性過程を詳細に調べた。 これらの成果をもとに、タンパク質の可撓性あるいはフレキシビリティーと特異的分子認識能との関係を明らかにし、新たなる分子認識能を有するタンパク質の創出に展開した。
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