1.Co-π共役高分子錯体による酸素4電子還元 Coポルフィリン錯体のII/III価の酸化還元電位とCoポルフィリン錯体と同程度の酸化還元電位を有する共役高分子をマトリックスとして利用すると、共役高分子から、連続的に電子がコバルト金属(III価)へ注入されて高い4電子還元効率を示している。高い酸化還元電位を有するポリフェニレン誘導体では4電子移動は生起せず、2電子還元に留まった。熱力学的に見ると、ΔGの増加と共に急激に4電子還元効率が減少した。電子移動速度の低下により酸素の拡散による散逸に支配されるので、2電子移動のみによるH2O2を優先的に進行するためと考えられる。 2.コバルトポルフィリン複核錯体の多電子過程 イオン対で集積構造をとるコバルトポルフィリン複核錯体の構造と電子過程を調べた。DMSO中では複核と単核の解離平衡状態にあることが明かとなり、コバルトポルフィリン複核錯体が2-2価から2-3価そして3-3価への解離平衡を伴う2段階のレドックス過程を示すことが確認された。価数の増加により、解離平衡定数は増加する。 結論 Coポルフィリン錯体のII/III価の酸化還元電位と同程度の酸化還元電位を有する共役高分子の高分子錯体は、酸素分子の接触により4電子還元を優先的に進行させる。コバルトポルフィリン複核錯体の解離平衡をともなう2電子酸化還元過程を明かにした。
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