研究概要 |
ケモカインの遺伝子クラスターは比較的最近形成された遺伝子が密集していることから、遺伝子進化の面からは非常に興味深い領域といえる.そこでBACやYACコンティグを作製し,構造を比べてみると,ヒトとマウスとではそのゲノムに含まれるケモカインのセットが明らかに異なっていた.現在までに明らかになった所では、その違いはおもに炎症性ケモカインであるが、ある臓器では構成的に発現しているものもあり、炎症時だけではなく正常時においても生物により何らかの異なった白血球の循環などが見られるのかどうか興味あるところである.またそのような種特有のケモカインや種により遺伝子コピー数が異なるケモカインはそれぞれの種を特徴づける遺伝子の1つで、種の多様化に役立っているとも考えられる.今後マウスのゲノム配列がヒトと同様に解読されてくれば、ケモカインやそのレセプター遺伝子クラスターのダイナミックな再編機構の詳細が明らかとなり、種の進化とともにどのようにしてケモカイン系が進化し、多様化したかが詳細に示されるに違いない.
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