研究概要 |
本年度は,核様体の構造と機能に関する研究,および切り取り上胚軸におけるサイトカイニンによる緑化遅延に関する研究を行った。 <核様体の構造と機能>1.ゲノムDNA配列の再解析により,PENDタンパク質はこれまでより19残基短い613残基が正しいサイズとなった。さまざまな部分タンパク質とGFPとの融合タンパク質の細胞内局在を調べた結果,葉緑体の他,細胞核にも輸送される可能性があることがわかった。cbZIPドメイン単独のタンパク質を作ることができ,二量体形成とTAAGAAGTモチーフへの結合が確認された。2.エンドウの葉緑体核様体の主要構成成分である70kDaタンパク質が亜硫酸還元酵素(SiR)であることを証明した。3.ヒメツリガネコケから,ファージタイプRNAポリメラーゼをコードする2個の全長cDNAを取得し,それぞれがコードするタンパク質をRpoT1,RpoT2とした。RpoT1はミトコンドリアに局在すると推定される。4.エンドウ核様体を用いて,in vitro転写系を作った。ヘパリン処理により著しい転写活性の増大と可溶化が見られ,逆に,SiRはDNAのパッキングにより転写活性の抑制を起こすことがわかった。 <切り取り上胚軸におけるサイトカイニンによる緑化遅延>1.エンドウ芽生えからresponse regulator(RR)をコードすると思われるcDNAを2個クローン化し,それそれの遺伝子をPsRR1とPsRR2とした。これらは葉で発現が見られ,BAによる誘導が見られたが,誘導には光が必要であった。
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