研究課題
(研究1)主に光合成関連遺伝子の転写を司どる葉緑体転写酵素PEPは、コア酵素部分は葉緑体ゲノムに、転写開始因子シグマ因子は核ゲノムにと、構成サブユニットをコードする遺伝子が両遺伝子系に分かれている。シグマ因子については、既に高等植物では複数の遺伝子がクローニングされている。この核遺伝子系産物であるシグマ因子群を介し、葉緑体中でのPEP機能が制御されていると考えられるが、各因子が認識するプロモータ構造は全く分かっていなかった。本研究ではまず、in vitro転写系中で、転写活性を持たないコムギ葉緑体抽出物にシグマ因子Sig1を再構成することにより、Sig1がpsbAプロモータ構造を認識し得ることを明らかにした(投稿中)。また、形質転換プロトプラストを用いた解析から、シロイヌナズナの各シグマ因子が選択的に認識するプロモータを同定し、Sig5がpsbDにおける青色光応答転写の制御に関与していることを見出した(投稿中)。(研究2)原核生物では、シグマ因子に加えてシグマ因子結合蛋白質も転写の制御を行っている。昨年度、葉緑体シグマ因子(Sig1)結合蛋白質(SibI)をクローニングしたが、この蛋白はSibI強制発現プロトプラスト中に於いてpsbAとpsbD遺伝子の転写を特異的に活性化した。この結果をもとに、Sig1とSibIの協調によるpsbAとpsbDの選択的転写活性化モデルを提出した(投稿中)。(研究3)GFPが葉緑体中で発現する葉緑体形質転換タバコの作出によりstromuleを可視化する事が可能となった(PCP,41 367-371)。さらなる研究から、単離葉緑体でもstromuleが観察できること、stromuleをストレス刺激により誘導できることを明らかにした。
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