研究概要 |
<研究背景> 転写は、基本転写因子群によって行われる基本転写と、上流域結合因子群と基本転写因子群との協同作用による制御転写にわけて考えることができる。細胞内で観察される転写活性化機構の分子的実体を明らかにするべく、1)転写活性化モデルとして使用されている強力な転写活性化因子であるヘルペスウイルス蛋白質VP16活性化ドメインの、コアクチベーターの精製2)ほ乳類生体内に存在し目や筋肉の発生に関係するEyaコアクチベーターの複合体の精製を行った。 <実施状況> 1)VP16の活性化ドメインをさらにH1ドメインとH2ドメインに分けた。2つのサブドメインは培養細胞をいた一過性形質転換法による転写活性化様式に違いがあることから、ドメイン特異的な因子またはメカニズムを通じた転写活性化であると示唆された。従来のDignam法によらず、Low Salt法(Ikeda,K.& Meisterernst,M)により調製されたHeLaS核抽出液にVP16H1ドメインに依存的な活性が再現性よく観察された。裸およびクロマチンDNA鋳型の試験管内転写系を用いてそれぞれのサブドメインを通じて作用するコアクチベーターを探索した。前者のドメインにはMediator ComplexであるSMCCが結合し裸のDNA鋳型からの転写を担う。後者のドメインにはSMCCとCBP/p300が結合しクロマチンDNA鋳型からの転写を担うことが明らかになった。 2)HeLa細胞の核抽出液300mlから、イオン交換カラム、ゲル濾過カラム等を用いて、Eyaを含む複合体を精製した。同複合体は、SDS-PAGEにて6つのポリペプチドから成ることが示唆された。終精製画分は、Sixタンパク質存在下、裸およびクロマチンDNAを鋳型にした試験管内転写系では転写活性化能を有しなかった。
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