タンパク質生合成の速度と精度はリボソーム上の特定部位におけるGTP水解反応に依存している。これまでの本研究により、このGTP水解反応にリボソームRNA中の"GTPaseドメイン"とリボソームstalkタンパク質成分の結合が不可欠であることを示してきた。しかし、リボソーム粒子中に複数コピー存在するStalkタンパク質の機能面の意味は、なお、明確にされていない。本年度は、大腸菌リボソーム中に4コピー存在するL7/L12Stalkタンパク質のコピー数とGTPase活性の関係を生化学的に解析し、以下のような知見を得た。 1)L7/L12タンパク質を2コピー含むリボソームは野性型リボソームの50%のGTPase活性を示す L7/L12の4コピーが結合するL10側に変異を導入することにより、2コピーのL7/L12を結合するリボソームの調製に成功し、得られたリボソームの機能解析を行った。 2)L7/L12を1コピーしか含まないリボソームは野性型の20%のGTPase活性を示す L7/L12側に変異を導入することにより、1コピーのL7/L12しか含まないリボソームが得られ、その機能解析を行った。 1)と2)の解析により、L7/L12の4コピーはリボソーム機能にとって必ずしも全て必要ではなく、コピー数はL10を介するrRNA結合性とそれによるrRNAの機能制御と関係することが示唆された。
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