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2000 年度 実績報告書

モノアミントランスポーターノックアウトマウスを用いた神経細胞障害の研究

研究課題

研究課題/領域番号 12031227
研究機関(財)東京都医学研究機構

研究代表者

曽良 一郎  財団法人東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 副参事研究員 (40322713)

研究分担者 山本 秀子  財団法人東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 研究員 (60211645)
萩野 洋子  財団法人東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 研究員 (40332382)
キーワードモノアミン / トランスポーター / シナプス小胞 / ノックアウトマウス / メタアンフェタミン / コカイン / 加齢 / 移所運動量
研究概要

シナプス小胞膜モノアミントランスポーター(VMAT)は細胞質で合成されたモノアミンをH^+依存性にシナプス小胞に貯蔵する膜蛋白質である。中枢性シナプス小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)はパーキンソン病を引き起こすMpp+の神経毒性から保護的に働くことが培養細胞系に用いて明らかにされてきた。覚醒剤中毒患者には比較的高頻度に突然死が起こり覚醒剤の神経細胞毒性との関連が注目されているが、覚醒剤の神経細胞毒性のメカニズムは明らかにされていない。
我々は、覚醒剤の標的分子であるVMAT2のノックアウトマウス(以下KOマウスと省略)を作製し、標的分子欠損マウスモデルにおける覚醒剤の薬理効果を検討した。ヒトの遺伝子発現の個人差を反映しているマウスモデルとして、VMAT2発現が完全欠損しているホモKOマウスではなく、正常野生型の約50%に減少しているヘテロKOマウスを主に対象としてメタアンフェタミン、コカインの毒性試験を行った。VMAT2ヘテロKOマウスでは、メタアンフェタミンのLD_<50>は正常野生型と比較して低下していた。ドーパミンD1受容体拮抗薬SCH23390の前投与はメタアンフェタミンの効果を減弱させたが、D2受容体拮抗薬sulprideの前投与では減弱効果は認められなかった。コカインもメタアンフェタミン同様にVMAT2ヘテロKOマウスにおいて、毒性効果が正常野生型と比較して増強されていた。これらの結果は、覚醒剤の神経細胞毒性はVMAT2のみならず、ドーパミンD1受容体も関与していることを示唆している。
パーキンソン病などの神経変性疾患は加齢とともに発症頻度が増加することが知られており、加齢がドーパミン神経細胞脱落による症状の顕在化に促進的な効果を及ぼしていることが考えられている。移所運動量低下を加齢の指標とすると、VMAT2ヘテロKOマウスは加齢による運動量の低下が正常野生型と比較して著しかった。この結果は、VMAT2発現の低下は加齢による運動機能低下に促進的に作用していることを示す。さらに、アンフェタミンの運動刺激効果は老齢VMAT2ヘテロKOマウスでは老齢正常野生型と比較して有意に低下していた。これらの結果は、加齢によって促進されるドーパミン神経細胞脱落VMAT2発現低下が一層加速することを示唆していると考えられる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Sora I,Hall S,Andrews A M,Itokawa M,Li X-F,Wei H-B, et al.: "Molecular Mechanisms of Cocaine Reward : Combined Dopamine and Serotonin Transporter Knockouts Eliminate Cocaine Place Preference"Proceeding of National Academy of Science USA. (in press).

  • [文献書誌] Wisor J P,Nishino S,Sora I,Uhl G R,E Mignot E,Edgar D M: "Dopaminergic role in stimulant-induced wakefulness"Journal of Neuroscience. 21. 1787-1794 (2001)

  • [文献書誌] Uhl G R,Li S,Takahashi N,Itokawa,K,Lin Z,Hazama M,Sora I: "The VMAT2 gene in mice and humans : amphetamine responses, locomotion, cardiac arrhythmias, aging, and vulnerability to dopaminergic toxins.:"FASEB Journal. 14. 2459-2465 (2000)

  • [文献書誌] 曽良一郎: "特集:精神分裂病へのアプローチ 次世代への展望、遺伝子改変による精神分裂病モデル動物の開発"分子精神医学. 1. 27-34 (2001)

  • [文献書誌] 曽良一郎: "KEY WORD精神第2版、樋口輝彦,神庭重信,染矢俊幸,宮岡等編モノアミントランスポーター"先端医学社、東京. 214-217 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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