研究概要 |
1)GRC-1の発現に関する研究 GRC-1はIGF-Iにより調節されるCa^<2+>透過性チャネルであるが、非刺激時には主に細胞内プールに存在するが、刺激を受けるとPI-3キナーゼ依存的な機構により細胞膜上にトランスローケーションするという特徴がある。培養血管平滑筋細胞での発現を検討した結果、収縮型の平滑筋では発現は少ないが、増殖型に形質変換するとその発現が大きく増加することが明らかになった。また増殖型の平滑筋細胞にアンチセンスGRC-1を導入してその蛋白発現をほぼ消失させた場合にも、約50%程度のCa^<2+>透過性チャネル電流が残存した。この結果から増殖型平滑筋細胞ではGRC-1がCa^<2+>透過性チャネル電流の約50%を占めていると推定された。 2)GRC-1以外のCa^<2+>透過性チャネル アンチセンス法によりGRC-1の発現を抑制してもCa^<2+>透過性チャネル電流が存在することからGRC-1以外のチャネルの存在が推定される。そこで他のCa^<2+>透過性チャネル分子を検索した結果、新たにGRC-2,および3と名付けた新規の遺伝子を同定した。これらをCHO細胞に発現したところ、Ca^<2+>透過性のある非選択性陽イオンチャネル活性が認められた。またそのCa^<2+>電流はIGF-Iの投与により数倍に増加したことから、これらが新規のIGF-Iにより活性化されるCa^<2+>透過性チャネル分子をコードする遺伝子であることが判明した。
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