末梢血単核球に不活化HIV粒子を加えて特異的Tリンパ球を刺激し、フローサイトメーターでリンパ球中の細胞質内IFN-γ陽性細胞を検出する方法でHIV特異的なヘルパーおよびキラーTリンパ球の検出を試みた。その結果、(1)HIV感染者では末梢血中のHIV-1特異的CD4陽性Tリンパ球が著減していること、(2)IFN-γの産生が低下していること、(3)HIV-1特異的CD8陽性Tリンパ球のperforinの発現が低下していることが明らかとなった。つまり、HIV感染者ではHIV特異的細胞性免疫が量(数)的にも、質的にも低下していることが明らかとなった。このことは、生体の免疫機構がHIVを排除し得ない原因の一つであると考えられ、これを回復させることがHIV感染症のコントロールに重要であると思われる。 そこで、in vitroの刺激でHIV特異的Tリンパ球のIFN-γとperforinの発現低下が回復可能か否かの検討を行った。まず、高濃度のIL2存在化で約24時間の培養を行ったが、この短期培養ではこれらの異常は回復しなかった。現在、さらに長期の培養でHIV特異的Tリンパ球の機能異常が回復するか否かを検討中で、1週間ごとに計4週間の抗原刺激を加えたT細胞lineではperforin依存性の細胞障害活性が認められることを示唆する結果が得られている。今後、さらに症例数を増やしてより詳細な解析を行い、IHV特異的細胞性免疫を強化する免疫療法への応用を目指す。
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