研究概要 |
耐性ウイルスの出現は、治療上克服していかなければならない重要課題のひとつである。HIV-1の薬剤耐性獲得のひとつは、薬剤の標的分子である逆転写酵素,プロテアーゼにアミノ酸置換が蓄積し、薬剤による阻害効果が低下することによっておこる。この現象を解析するために、in vitroで耐性ウイルスの誘導がおこなわれてきたが、ここで選択されてくる変異は、かならずしも臨床治療の結果得られた変異と一致しない。こうしたin vitroにおけるシステムを改善するために、すでに臨床でつかわれているプロテアーゼ阻害剤に対して耐性となる10個のアミノ酸変異を選び、これらのランダムな組み合わせを前もってmolecular clonesのpol領域に組み込んだ>2×10^5個の独立のクローンからなる耐性関連変異HIV-1ライブラリーを作製するができた。このライブラリーDNAを293Tに導入し、ウイルスプロテアーゼに多様な変異を複数(0〜10個)もつ、ウイルスポピュレーションの作製に成功した。臨床でもちいられているプロテアーゼ阻害剤ritonavirの存在下で培養すると、野生株がまったく増殖できない薬剤濃度で、複製可能な耐性ウイルスが、数日で分離された。今回、infectious cloneをバックグラウンドにして、ウイルスの特定の遺伝子領域に変異を導入し、heterogeneousなウイルスボプレーションを調製することができることが示された。
|