研究概要 |
Two hybrid法を用い、マウス赤白血病(MEL)細胞のcDNAライブラリーから、EtsファミリーPU.1に結合する蛋白質をコードする遺伝子としてCBP(CREB binding protein)を同定した。しかしながら、同時に単離した未知の新規蛋白質と思われた遺伝子は、残念ながらクローニングアーティファクトであった。また、GSTカラム法で精製した蛋白質の免疫沈降とWestern解析の結果から、既知の蛋白質ではあったが、mSin3A,TBP,ヒストン蛋白質などがPU.1に結合することが今回明らかとなった。分子量的に新規蛋白質と推測されるものについては現在アミノ酸分析を行なっており、その配列をもとに遺伝子の単離を行なう予定である。一方、Differential Display(DD)法を用いて、MEL細胞にPU.1を過剰発現した際に変化する新規遺伝子の単離と同定を試みたところ、そのうちの一つはある転写因子グループと相同性を示し、T細胞と胚細胞に特異的に発現する興味深い未知遺伝子であることが分かり、現在、解析を急いでいる。DD法の結果、骨髄単球系細胞に特異的に発現するいくかの既知遺伝子の発現も増強していたので、その他の骨髄単球系細胞特異的遺伝子についても網羅的に検索した。その結果、MEL細胞は既に赤血球にコミットされている細胞にもかかわらず、PU.1の過剰発現でM-CSFR,G-CSFR,CD11b/CD18(Mac-1),ミエロペルオキシダーゼ,C/EBPα,C/EBPεなどの遺伝子が高く発現し、貪食能も陽性となりマクロファージ様細胞に転換することが明らかとなった(Blood97;April,2001,in press)。
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