1.実地調査による資料収集:代表者の津曲は中国東北部におけるツングース諸語の実態調査と、現地研究者に危機言語の調査研究の必要性を訴えるため、北京(中国社会科学院民族研究所 朝克教授)とハルビン(黒龍江省満語研究所 趙阿平所長)を訪れた(この旅費は別途科研費によった)。その際研究補助として、大学院生3名(北海道大学大学院木村滋雄、山越康裕、山田敦士)を一部同行・派遣した。これら協力者は代表者の事前指導のもと、緊密な連絡を保ちながらそれぞれの調査地域で資料収集にあたった。いっぽう分担者の池上はウイルタ語の資料収集と教科書作成打ち合せのためにサハリンへ赴いた。これにも北海道大学の院生(永山ゆかり)を協力者として同行させた。また国内在住のウイルタ語話者からの調査も行った。 2.外国人協力者の招聘:池上が以前からかかわっているウイルタ語教科書作成の打ち合せと具体的作業のために、サハリンからウイルタ語の話者である協力者2名を札幌に招聘した。この2名はそれぞれウイルタ語の南北両方言の話者であると同時に、ウイルタ語教育に深い関心と理解を有しており、今回の招聘による共同作業によって、教科書実現に向けて大きく前進した。 3.資料の分析と整理:収集した言語資料の整理・分析作業を進めた。一部の音声資料は北海道立北方民族博物館の音声展示用データとしても提供した。今年度発表されたいくつかの論文の中で活用されたデータもある。またウデへ語の自伝テキストについて、刊行の基礎作業となる全体の翻訳を終えた。
|