研究概要 |
1.実地調査による資料収集:代表者の津曲は中国東北部におけるツングース諸語の実態調査と、現地研究者との情報交換のため、ハルビン(黒龍江省満語研究所 趙阿平所長)を訪れた。また中国各地の少数民族言語の状況把握のため、大学院生2名(北海道大学大学院山越康裕、山田敦士)を現地に派遣した。これら協力者は代表者の事前指導のもと、緊密な連絡を保ちながらそれぞれの調査地域で資料収集にあたった。いっぽう分担者の池上はウイルタ語の資料収集と教科書作成打ち合せのために、津曲とともにサハリンへ赴いた。津曲はまた,ロシア沿海州でウデヘ語調査を行い、次年度に予定されている資料刊行に必要な準備作業を行った。 2.現地語教育への協力:池上は以前から、サハリンのウイルタ語教科書作成に指導的な立場でかかわっている。今回のサハリン訪問では、ウイルタ語の話者との共同作業によって、教科書実現に向けての最終的局面に入ったと言える。いっぽう津曲は、ウデヘ語の既存教科書について話者との検討作業を行うとともに、現地で利用可能な形でのテキスト刊行の準備を進めた。 3.資料の整理と刊行:津曲はウデヘ語の自伝テキストについて、日本語訳を刊行(A・カンチュガ著/津曲訳『ビキン川のほとりで:沿海州ウデヘ人の少年時代』北海道大学図書刊行会、241ページ、2001年2月)したのを受けて、原文テキストの整理・分析作業を進め、次年度には刊行の見込みである。また中国のツングース語である満洲語の入門的記述を刊行した。池上はウイルタ語のテキスト集(音声CD付)を年度内に刊行予定である(2002年3月刊行予定)。
|