本研究代表者は、調査がほぼ終了しているアリュート語東部方言に関して未整理・未分析資料を、語彙集・文例集・民話テキスト集としてコンピュータ入力しコーパス化の作業を行ない、音声資料については、磁気テープを編集構成し、MDを用いてデジタル化作業が行なった。 また、第二次大戦中に故服部健教授の残したアッツ方言資料を語彙・文例集として編集するためのコンピュータ入力作業に着手したので、来年も継続して行う。 平成12年度はカムチャツカ・コマンドルスキー諸島のアリュート語(ベーリング島方言)について音声・語彙・文例・民話等の現地収集は悪天候のため欠航となり、不調に終わったので来年度も継続して現地調査を試みる。一方、コリヤーク語の調査・研究に関しては、平成12年度には、研究代表者が主に東海岸のティムラートでアリュートル語、カラガではコリヤーク語カラガ方言の民話テキストの収集を行った。クイキニャーコという文化英雄の民話の語り部が高齢ではあるがかなりの人数で存在することを確認できた。さらに収集資料では、なぞなぞ・早口ことば・格言などもあることが判明したので今後はその方面の資料収集の可能性もでてきた。 研究協力者の永山ゆかり(北海道大学大学院)は、既存資料の収集・集積をはかるとともに、主にティムラートに近い東海岸のイルプィルスキーでアリュートル語の音韻と基礎語彙調査を終えたので、来年度は、文法調査に着手する。文法は未解明の部分が多く、コリヤーク語との比較における文法解明が期待される。
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