研究概要 |
移民コミュニティにおける固有言語消滅のプロセスの解明を通じて、言語がいかにして消滅の危機を迎えるかを明らかにするため、日本の韓国・朝鮮語コミュニティとドイツのトルコ語コミュニティを主な研究対象として、平成12年度に引き続き、インタビューやアンケートによるデータ収集を行った。 林は、12月から1月にかけてベルリン市クロイツベルク地区のGesamtschuleにおいて補充調査を行うとともに、前年度実施したアンケート調査の結果とその解釈を巡って、同校の教師たちの意見を集めた。 生越は、アンケート調査の調査票について検討を行い,最終的な調査票を作成した。2001年11月中旬から下旬にかけて,韓国系の民族学校である建国中学・高校において言語生活に関するアンケート調査を行った。現在結果のデータ入力と集計作業を行っている。 海外共同研究者の任榮哲(韓国・中央大学校)は、5月から6月にかけて、中国北京と延吉において、在中朝鮮族の言語生活に関するアンケート調査を行った。 研究協力者の金美善(国立民族学博物館・外来研究員)は、前年度に引き続き、大阪市生野区周辺の在日コリアンの言語実態についてフィールドワークをした。また、在日コリアンコミュニティとの比較のため、アメリカ・ロスアンゼルスの韓国コミュニテイにおいて、コミュニティ全体を対象に言語意識を聞くアンケート調査と、移民1世代の実際の言葉の運用を知るための面接調査を行った。面接調査の内容は、音声資料として録音した。なお、アンケート調査には、任栄哲が協力した。 メンバー各自による上記の活動の他、6月には海外共同研究者のCarol W. Pfaffを招聘し、シンポジウムを開催し(A Symposium on Language ~Change in Immigrant Communities : Idiosyncrasies and Universals in Immigrant Languages : Changes in Morphosyntax)、本研究課題のこれまでの調査結果の解釈と今後の研究方針の検討を行った。さらに、5月、7月、11月に定例研究会を開催し、国内の研究者との情報交換に努めた。
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