研究概要 |
福井玲はTeX用音声記号システムTIPAの改良を主として行った。記号を追加して、Phonetic Symbol Guide(Pul lum and Ladusaw, 1996)およびHandbook of the International Phonetic Association(IPA,1999)に見られるすべての記号が使用できるようにし、また、書体を追加して、これらすべての記号が多様な書体のもとで使用できるようにした。あわせて、マクロを改良してより細かな制御ができるようにし、また、マニュアルを増補して、インストールの便をはかるとともに、FAQのセクションを追加した。このマニュアルは本特定領域研究の成果報告書B006として刊行されている。なお、TIPAのパッケージ(最新版はversion 1.2)は、現在、全世界のCTAN(Comprehensive TeX Archive Network)から利用できるようになっている。 福嶋秩子は言語地図作成システムSEALの多言語対応化を目的として、以下のように改定を行った。平成14年5月、インストール方法を変更したSEAL6.1Jおよび英語版6.1Eを発表、ホームページ(http://www.nicol.ac.jp/~fukusima/)でダウンロードできるようにした。SEAL6.1Eは英語版Windowsだけでなく、韓国語版、中国語版など多言語のWindowsで動くことが確認された。12月には、Windows XP搭載のPCのモバイル使用に対応し、詳細な印刷設定が可能になるよう改定した6.2Eを発表した。本研究の研究協力者である李相揆教授(韓国慶北大学教授、東京大学客員研究員)はSEAL6.1E・6.2Eを使用して、韓国語方言資料の図化を始めた。今後は、3人が協力して、韓国語の方言地図作成とそれに基づく言語地理学的究を行っていく予定である。
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