研究概要 |
松村一登は,文字を持たず,音声記号を用いて記録された,ボート語(ウラル系),イテリメン語(古アジア系)のテキストを,文法研究のためのテキストコーパスに加工整形した。また,複数の言語のコーパスに利用できる共通のツールを備えたコーパスサーバーを試験的に立ちあげ,データをサーバー上で利用するための環境を整備した。さらに,正書法が確立しているウラル諸語(フィンランド語,エストニア語)のコーパス研究のための用例検索ツールの開発について,国際学会で発表し,これらのツールが音声記号で記録される言語のコーパスにも利用できることを示した。 滝沢直宏は,英語のコーパス研究で用いられている分析ツールを,多言語に対応した柔軟なソートができるよう改良した。 平成12年8月,松村一登,滝沢直宏と研究協力者千葉庄寿(東京大学大学院博士課程)は,コンピュータコーパスを用いた言語研究の現状視察のため連合王国に出張し,オックスフォード大学(Oxford University Computing Services),ランカスター大学(Department of Linguistics and Modern English Language,Lancaster University),バーミンガム大学(Collins COBUILD,Department of English,Birmingham University)を訪問して,コーパス言語学者と会い,コーパスの構築とコーパス言語学用のツールについて情報を収集した。また,ウォルバーハンプトン大学(Computational Linguistics Group,University of Wolverhampton)において,松村一登と滝沢直宏は,消滅に瀕した言語の言語資料のコンピュータ処理の問題点と,コーパスを用いた言語分析について,それぞれ講演を行った。
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