この調査・研究は、フィリピンと台湾の原住民の言語の内、特に消滅の危機に瀕している少数民族のに注目して、それらの言語の昔から踏襲しているオーラル・トラディションを映像ととも録音し、音声記号による記述を目的としている。森口は、フィリピンのカラオ語、イヴァタン語、台湾のブヌン語を、山田は、イトバヤット語を、海外研究協力者のE.Constantinoは、ルソン島のネグリートの1言語であるアグタ語を調査し、それぞれ、テキストの記録を行った。 今年度は、Constantino氏のよるネグリートの叙事詩の記述とそれらに分析、解説を加えたものを出版する予定である。このテキストの重要性は、それを所有する民族の居住地が、ピナトゥボ火山のような火山地帯にあったり、もともと狩猟・採集民であるために定住していないため情報提供者を探し出すのにも非常に困難なものになっている。それゆえ、現在記録し、公刊する事は、この上もなく価値あるものである。 現在、森口、山田は、それぞれ調査を行っているが、学校教育の普及と国語の教育により少数民族の言語の統一化が進んでいて、その調査が急がれる。森口は、民間伝承と語彙を、山田も伝説と語彙を収集し、現在、整理と分析、及び、データの入力中であり、2001年度、2002年度にに公刊する予定である。
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