北野浩章は、2000年8月〜9月および2001年2月〜3月にフィリピン、アンヘレス市において、カパンパンガン語の現地調査、主に自然談話資料の文字化作業を行った。また、アンヘレス市のホーリー・エンジェル大学のカパンパンガン文化研究者とも情報交換などをする機会を得た。射場朝子は、2000年8月〜9月にインドネシアとオーストラリアにおいて、マルク諸島、東ヌサトゥンガラ諸島地域の言語状況に関して、有識者との懇談などの方法で情報収集を行い、危機的状況にある言語が多数存在するアロール島の情報を得ることができた。赤嶺淳(研究協力者)は、2000年12月から2001年1月にマレーシアのサバ州にて、サマ語諸方言の分布調査を行った。小張順弘(研究協力者)は、2000年9月〜10月、11月、2001年1月〜2月と三度にわたってフィリピン、ミンダナオ島北東部のブツアノン語の現地調査を行った。 本年度の研究を来年度も継続し、以下のような研究成果公開を予定している。 北野浩章は、これまでに得られた成果をもとに、「カパンパンガン語記述文法(仮題)」の執筆を行う。また、コンサルタントのMichael Pangilinan氏の「カパンパンガン語分類語彙集(仮題)」編纂作業をサポートする。射場朝子は、特に危機的状況にあることが判明したクイ語に関して重点的に語彙調査、文法調査を行い、アロール島の言語状況についてのレポートを公開する予定である。赤嶺淳は、本年度に採集した語彙と構文については、これまで継続してきたフィリピン側の調査結果とともに「サマ語方言資料集(仮題)」「サマ語記述文法(仮題)」などとしてまとめる予定である。また、小張順弘は、ブツアノン語の現状調査、および基本構文についての調査をまとめて発表する計画である。
|