北野浩章は、2001年12月および2002年3月にフィリピンのパンパンガ州アンヘレスおよびミナーリン、タルラック州タルラックなどでアイタ語の情報収集、現地調査を行った。また、アイタ語との比較のため、従来から続けているカバンパンガン語の調査も平行して行った。射場朝子は、2001年8月、2002年1月にインドネシアのアロール島で話されているパプア系言語であるクイ語の社会言語的状況を調べた。また、語彙調査を行い、500語余りの語彙を収集した。さらに、文法の聞き取り調査を行い、二編のテキストを収集した。赤嶺淳(研究協力者)は、日本国内にてサマ語とタウスグ語に関する文献調査とこれまでの調査で得た言語資料の分析を行った。小張順弘(研究協力者)は、2001年12月にフィリピンのセブ、2002年3月にブツアンで調査を行った。ブツアノン語の基本的な社会言語データの収集をアンケートで行い、文化接触の中にある実状を探ることに努めた。同時にブツアノン語の基礎データの収集、およびミンダナオ島の広域共通言語であるセブアノ語との言語接触との関係を調べるためにブツアノン語資料作成と同じ文構造のレベルに焦点をあてた例文集を使い、比較対象のためにデータ収集を行った。 本年度の研究を来年度も継続し、以下のような研究成果公開を予定している。 北野浩章は、アイタ語の基礎的な文法概要をまとめる予定である。射場朝子は、クイ語の文法のスケッチを付した語彙集を刊行する予定である。赤嶺淳は、サマ語について、テキストや文例集、語彙集をまとめたモノグラフの刊行を予定している。また、小張順弘は、来年度の早い時期にブツアノン語のデータの整理をし、再び母語話者のチェックを通して最終稿として提出する予定である。
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