研究概要 |
西南中国の〈川西民族走廊〉と呼ばれる地域の言語について現在までに公表されている調査報告と諸資料を幅広く収集し,言語分布図を作成した。また同地域の少数言語にかんする資料にアクセスするためのレファランスを作成し,言語地図と相互参照ができるようにリンクをさせている。今後はこのデータを核として,順次新たな情報を加え充実させていきたい。少数言語の一次資料の収集では,研究代表者の池田が2000年7月26日から9月1日まで中華人民共和国四川省甘孜チベット族自治州に赴き,カンディン県にてムニャ語タングー方言の基本構文を調査し,約400の例文について文法構造を記述したほか,ダオフ県ではジョーラー村にてダウ地方の伝統的チベット建築の語彙の収集を行なった。後者は建築学の専門家の協力を得て図面資料を作成していただき,また研究協力者として同行いただいたプロのビデオジャーナリストの撮影になる映像資料および写真資料と相互参照の可能な語彙資料集を作成中である。このほか8月には海外研究協力者のRandy LaPolla準教授(香港城市大学)がチアン語およびドロン語,Marielle Paris講師(西南民族学院)がギャロン語,戴慶厦教授(中央民族大学)がトゥージア語について,それぞれ中国国内にて調査を行なった。いずれも語彙資料の収集が中心であるが,整理のできた部分より順次データとして公開し,専門家ばかりでなく広く一般の利用に供する予定で準備をすすめている。
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