研究課題/領域番号 |
12039228
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
遠藤 史 和歌山大学, 経済学部, 助教授 (20203672)
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研究分担者 |
呉人 恵 富山大学, 人文学部, 助教授 (90223106)
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キーワード | 東シベリア / フィールドワーク / 言語調査 / ユカギール語 / コリャーク語 / イテリメン語 / 言語コーパス / 記述言語学 |
研究概要 |
本研究では、東シベリアに分布するユカギール語・コリャーク語・イテリメン語(それぞれ下位方言群を含む)に関して調査研究を行った。今年度における主要な研究成果は次の3点である。-(1)これら諸言語に関して記述言語学の立場から現地調査を行った。(2)それによって得られた資料および過去の資料を検討し、昨年度に引き続いて語彙・文法・テキスト面でのコーパス(資料体)ならびに画像音声資料を作成・蓄積する作業を進め・将来の研究の確実な基礎を築いた。(3)今年度までに行った現地調査に基づいて、これら諸言語の言語動態にかんする考察を行い、現地におけるこれら諸言語の保存・継承の試みとの連携を図った。それぞれについてより詳細に述べるならば、研究代表者はユカギール語のコリマ方言について、現地調査(7月27日〜8月10日)を行い一次資料の収集と分析にあたるとともに、研究協力者の長崎郁と協力して研究資料のコーパス化の作業をすすめた。一方、研究分担者はコリャーク語(チャヴチュヴェン方言)に関して、今年度は長期間にわたる集中的な現地調査を行い(1回目は8月12日〜12月19日、2回目は2002年1月9日〜3月9日)、大量かつ良質の一次資料(ビデオカメラによる画像・音声資料を含む)の収集と分析にあたった。また研究協力者の小野智香子はイテリメン語北部方言の現地調査(8月18日〜9月30日)を行い、一次資料の収集と分析にあたった。また研究分担者は研究協力者(小野および谷津光宏)と協力し、昨年度までの研究成果もふまえながらComparative Basic Vocabulary of the Chukchee-kamchatkan language Familyの出版を行った。 本研究で扱った諸言語は話者数の減少・話者の高齢化が近年著しく、若年層への継承も途切れかけた「消滅の危機に瀕した」言語である。現地調査による資料の蓄積・コンピュータを利用したそれら諸言語のコーパス作成および若手研究者である研究協力者の研究の進展をも視野に入れた本研究計画の果たす役割は将来にわたって大きいといえる。また本年度からはこれらの研究成果の現地への還元の可能性を目論みつつ言語動態の考察も行われており、この試みは来年度以降も継続する予定である。
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