オーストラリア先住民族(アボリジニーおよびトレス海峡諸島民)諸集団の古語維持状況・社会言語学的環境について、主に資料調査とインタビューにより情報収集し、整理した。個別言語の活性化をふくむ文化復興運動の情勢について把握を試みた。 1)昨年度おこなった先行研究で構築した簡易データベース(MacOS9.1上でFileMakerPro-J5を使用)に本年度の調査で得られた情報を追加人力した(ファイル要領1.3MB、レコード件数691件、レコード毎の分析フィールド項目42)。 2)8月26日から9月2日にかけて、タウンズヴィル市で開催された「先住民の地位の過去と未来」会議(AIATSIS主催)に出席し、オーストラリア各地から参集した文化復興運動の関係者と情報交換した。特に、トレス海峡東部、キンバリー地方、アデレード都市圏の状況について詳しく事情を聴取できた。 3)西オーストラリア州内陸部のンガーニャチャラ言語文化センター、北部準州のキャザリン地域言語センターのスタッフと個別に接触し、活動状況の説明をうけた。 4)西オーストラリア州ヤウル語(Julbayi Yawuru)の環境語彙を記録・整理し、その一部を『Environmental Lexicography of Yawuru(2)』として編纂した(総括班より公刊)。また、北部準州ヨルグ語(Yolngumatha)の環境語彙の記述・分類作業を開始した(来年度中の刊行をめざす)。
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