4月〜7月は、手紙、ファックスを通して現地協力者と調査についての打ち合わせを行う。8月に山口と中嶋がインドネシア共和国南スラウェシ州の州都マカッサルを訪れる。中嶋が現地協力者に対して音声録音法の指導を行う。中嶋帰国後、山口は国立ハサヌディン大学大学院教官、文学部教官からなる現地調査チームと数回にわたる会議を行い、山口が調査方法等の指導を行う。また、対象のトポイヨ語が属すると思われる中部スラウェシ州を主な分布地域とするカイリーパモナ語群の研究資料収集、研究者との会談のために中部スラウェシ州の州都パルに行く。なお、現地官庁から調査許可が出たのが、帰国間近の9月6日だったため、山口は同行をあきらめ、現地チームのために特にカイリーパモナ語群の言語のための手引きを作成し、調査チーム代表のM.L.Mandaハサヌディン大学大学院博士課程言語学専攻主任に渡してくる。現地地調査による研究資料は10月に送付された。同資料は音声、語彙、形態論、統語論、および周辺の少数言語に関する若干言語資料と言語状況、およびManda達による簡略な音韻論、形態論、統語論の考察も含まれている。 11月24日には、京都で行われた国際学術会議「危機に瀕した言語」の分科会(東・東南アジア班)において山口、中嶋が研究経過を報告する(さらに研究成果報告用の原稿は東・東南アジア班班長に提出済み)。山口は、本科研費で得られた資料を基に、12月9日に大阪で行われた言語文化学会第14回大会で「南スラウェシ州北西部の少数言語」を研究発表。現在、山口は言語文化学会の機関誌『言語文化学会論集』に、平成13年度中に掲載する予定で論文執筆を開始している。さらに、山口、中嶋、Manda(および他の現地チーム構成員)の共著の形で『トポイヨ語文法』(CDによる音声資料付き)を編纂中。なお、現地の研究対象になった社会への還元という観点から、インドネシア語を用いて発行する。
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