人間とコンピュータ間の音声対話方式を用いたマルチメディアCALLシステムの研究

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12040106
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 壇辻 正剛 京都大学, 総合情報メディアセンター, 教授 (10188469)
• 研究分担者: 清水 克正 名古屋学院大学, 外国語学部, 教授 (10083792) ; 有木 康雄 龍谷大学, 理工学部, 教授 (10135519) ; 木南 敦 京都大学, 法学研究科, 教授 (30144314) ; 豊田 昌倫 関西外国語大学, 外国語学部, 教授 (30029681) ; 浦井 康男 北海道大学, 文学部, 教授 (70115294)
• キーワード: CALL / マルチメディア教材 / 発音データベース / 教材評価 / 英語CALL教材 / ドイツ語CALL教材 / 中国語CALL教材 / ロシア語CALL教材

研究概要

本年度は次の二つの事項に重点を置いて研究活動を推進することになった。一つはグローバル化社会に備えて、発信型の英語教育を重視したマルチメディアCALL教材のコンテンツ開発及びシステム開発を進展させることである。コンテンツ開発に開しては、京都の伝統行事や日本の歴史・文化に題材を取ったマルチメディア英語CALL教材の開発やドイツの地誌・文化の紹介に重点を置いたマルチメディアドイツ語CALL教材の開発を進めた。英語CALL教材は「時代祭-概説編」「同-延暦時代」「同-吉野時代」の3枚のCD-ROM教材を全体領域会議において希望者に無償で配布した。また、前年度に配布したCD-ROM教材のバージョン・アップを行ない、希望者に無償配布した。ドイツ語CALL教材は「DUAL」を作成し、やはり無償配布した。データベースの構築に開しては、日本人英語学習者の発音データベースの構築と留学生の日本語発音データベースの構築を重点的な課題として押し進めた。システム開発に開しては、母音や子音等の分節音だけではなく、強勢やリズムなどの英語の韻律情報の学習システムの開発も推進した。
第二の重点事項はマルチリンガリズムへの対応である。従来、英語一辺倒であるかのような印象を与えていたインターネットの世界にも近年多くの言語が対応するようになってきた。そしてマルチリンガルドメインの登場である。当研究班でもいわゆる初習外国語の教育に対応したドイツ語CALL教材(既述)、ロシア語CALL教材、中国語CALL教材の開発が押し進められた。
また、これらのマルチメディアCALL教材やシステムを作りっ放しにするのではなく、実際に複数の大学で語学教育に利用してもらいその評価を検討し、開発現場にフィードバックすることも試みた。

研究成果

• [文献書誌] N.Minematsu, Y.Tomiyama, K.Yoshimoto, K.Shimizu, S.Nakagawa, M.Dantsuji, S.Makino: "Development of English Speech Database Spoken by Japanese Learners"Proceeding of Cocosda Workshop 2001. 76-81 (2001)
• [文献書誌] 壇辻 正剛: "道しるべ:IT化時代の語学環境としてのCALL"情報処理. Vol.42. 1001-1005 (2001)
• [文献書誌] 峯松信明, 富山義弘, 吉本 啓, 清水克正, 中川聖一, 壇辻正剛, 牧野正三: "日本人話者による英語文・単語音声データベースの構築"日本音響学会2001年秋季研究発表会講演論文集. 1. 199-200 (2001)
• [文献書誌] 坪田 康, 河原達也, 壇辻正剛: "CALLジステムのための声道長正規化を用いたフォルマント推定"日本音響学会2001年秋季研究発表会講演論文集. 1. 199-200 (2001)
• [文献書誌] 井本和範, 壇辻正剛, 河原達也: "CALLシステムのための日本人話者の英語文強勢誤りの自動検出"日本音響学会2001年秋季研究発表会講演論文集. 1. 343-344 (2001)
• [文献書誌] 阿部一彦, 鍋島良紀, 河原達也, 田中和代, 壇辻正剛: "日本人の特性に基づく音声認識を用いた英会話学習支援ンステム"日本音響学会2001年秋季研究発表会講演論文集. 1. 109-110 (2001)
• [文献書誌] Yoshihiro Tomiyama, Masaaki Shimizu, Daisuke Honda, Masatake Dantsuji: "A Study of English Composition CALL Systems Using Interactive Learning for Junior High School Students"Proceedings of 2nd International Conference on ITHET. 103-108 (2001)
• [文献書誌] 清水政明, 元水章博, 壇辻正剛: "音響分析を通じたベトナム語声調体系の再考"東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所 通信. 102. 33 (2001)
• [文献書誌] 阿部一彦, 田中和代, 河原達也, 清水政明, 壇辻正剛: "対話型英語学習システムにおける日本人英語音声認識精度の検討"日本音響学会2002年春季研究発表会講演論文集. 1. 113-114 (2002)
• [文献書誌] 井本和範, 壇辻正剛, 河原達也: "日本人英語学習者のための文強勢とリズムの発音教示システム"日本音響学会2002年春季研究発表会講演論文集. 1. 279-280 (2002)
• [文献書誌] 坪田康, 河原達也, 壇辻正剛: "日本人英語の発音誤り同定のための音響モデルの構成法の検討"日本音響学会2002年春季研究発表会講演論文集. 1. 111-112 (2002)
• [文献書誌] 坪田康, 河原達也, 壇辻正剛: "日本人の誤りパターンの対判別を利用した英語発音教示システム"信学技報. SP2000-125. 25-32 (2001)
• [文献書誌] K.Imoto, M.Dantsuji, T.Kawahara: "Computer-Assisted English Prosody Learning System based on Automatic Detection of Sentence Stress-Timing"IEICE. SP2001-133. 63-70 (2002)
• [文献書誌] 堂下修司, 河原達也, 水谷陽一, 児島宏明, 石川雅, 北澤茂良: "2群対判別法による不特定話者日本語単音節中の子音の識別"日本音響学会誌. Vol.45,No.11. 827-836 (2001)
• [文献書誌] 緒方淳, 坂口福太郎, 五十嵐慎吾, 佐野輝希, 有木康雄: "映画を教材とした英語学習支援システム"電子情報通信学会ソサエティ大会. SD-2-4. 303-304 (2001)
• [文献書誌] 五十嵐慎吾, 佐野輝希, 緒方淳, 有木康雄: "ユーザー発話のセグメンテーションと発話評価機能をもつ英語学習支援システム"情報処理学会研究報告. SLP40-2. 7-12 (2002)
• [文献書誌] 河原達也 他: "日本語ディクテーション基本ソフトウェア(99年度版)"日本音響学会誌. Vol.57,No.3. 210-214 (2001)
• [文献書誌] 壇辻 正剛, 他: "日本語学と言語学"玉村文郎編,明治書院. 487 (2002)
• [文献書誌] 壇辻 正剛(河野六郎, 千野栄一, 西田龍雄 編著): "言語学大辞典 別巻 世界文学辞典"三省堂. 1232 (2001)
• [文献書誌] 鹿野清宏, 伊藤克亘, 河原達也, 武田一哉, 山本幹雄: "IT Text 音声認識システム"オーム杜. 198 (2001)