研究課題/領域番号 |
12040222
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山中 康裕 京都大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (30080162)
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研究分担者 |
秦 真理子 京都大学, 大学院・教育学研究科, 助手 (30324594)
皆藤 章 京都大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (70204310)
岡田 康伸 京都大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (90068768)
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キーワード | 画像データ / データベース構築 / 心理臨床素材 / 教育訓練効果 / 画像データ検索指標 / データベースとの相互的関わり / 心理臨床的態度 / 守秘義務 |
研究概要 |
心理臨床に関するデータは、個体差が大きく複雑なため、従来は収集・整理が困難であった。本研究では、画像データ等非言語的な作品を、文字や数値のデータに変換することなく、視覚的にそのままの形で保存・集積・閲覧することのできるデータベースを作り上げることで、心理臨床教育上有効な効果をあげることを目指してきたものである。 先行研究(山中他 1997、1998)で述べているように、データベース化は、より多くの心理臨床的素材に触れることを可能にする。描画等に対する心理臨床的感覚を養うためには、多くの臨床素材にふれることが大切であるが、個人の臨床活動を通じてのみふれられる素材には限界がある。これまで個々の臨床家が独自に保管していた心理臨床素材の相互利用が可能にすることで教育上有効な効果をあげることを目指してきた。 本研究では、さらに、データベースの構築及び維持における過程に、教育訓練効果を見出し、データベースの活用の仕方に焦点を当てた。先行研究(山中他 1998)において、データベースの検索指標を作成し、一定の指標に沿って検索・閲覧することを可能にしたが、本研究では、閲覧者が新たに指標を付加できるようなシステムを作った。これは、既存の指標にもとづいて臨床素材を閲覧するだけでなく、その中で、その指標自体を問い直すこと、新たな視点を模索することを可能にするものであり、利用者のデータベースとの相互的なかかわりを可能にする。データベースを完成させることが目的ではなく、データベース自体を常に見直し、構築し続けることが心理臨床的態度に繋がるのである。 しかしながら、データベースを利用することが即効果的なのではなく、利用者の態度によるところが大きいため、今後は、守秘義務やプライバシーの問題を含めたデータベースの活用について、利用者を含め検討を重ねていくことが必要である。
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