研究概要 |
デンドリマー部位を有する錯体触媒は従来にない選択性,触媒活性を期待できる。本研究ではまず,デンドリマー部位を有するホスフィン配位子と白金0価錯体の合成を行った。すなわち,トリフェニルホスフィンの二つのフェニル基のパラ位にデンドリマー部位を有する単座配位子を合成した。さらに,対応する2座配位子を合成した。これらの配位子のESI-MS, NMR(^<31>P, ^<13>C, ^1H)スペクトルおよび元素分析の結果は,これらの配位子が欠損のない純粋なものであることを示していた。次に,これら新規ホスフィン配位子を用いて白金0価錯体の合成を行った。対応する2価ジクロロ錯体をNaBH_4で還元することにより,元素分析値も理論値と合う純粋な錯体が得られた。本研究で得た錯体の中で最も大きいものは,(C_<444>H_<384>O_<56>P_4Pt, Mw=6934.7)なる組成を有していた。この錯体は,その極めて高い溶解度のため,X線結晶構造解析に必要な単結晶を得ることが出来なかった。しかし,CONFLEX/MM3, B3LYP/LANL2DZ, PM3/MOZYMEを用いた分子モデリングにより,理論的な分子構造を得ることに成功した。それによると,中心白金周りに,空孔が確認された。これらの空孔は新規な分子認識能を有する分子触媒を実現するために極めて重要であると考えられる。
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