研究概要 |
本研究では、触媒反応と密接に関連すそ10族遷移金属と6,7,8族遷移金属間結合を有するヘテロ二核錯体を合成単離し、その化学反応性や安定性を検討することにより、二つ以上の遷移金属がもたらす共同効果の本質を解明すること、およびこれらの共同効果を基礎としたより効率的で完全な分子変換法を開拓することを目的とする。 メチルパラジウム-コバルト二核錯体(dppe)MePd-Co(CO)_4と一酸化炭素との反応が、対応する単核錯体であるPdMeCl(dppe)の場合と比べて、40倍程度速く進行し、Pd-Me間に一酸化炭素か挿入したアセチル錯体(dppe)AcPd-Co(CO)_4を与えるという極めて顕著な二核錯体による反応促進効果を見出した。^<13>COを用いた反応により、この一酸化炭素挿入反応において、Pd-Me間に挿入するのは添加した^<13>COではなく、コバルト上のCOであることも明らかにした。また、名古屋大学の古賀教授との共同研究による理論計算の結果から、本反応ではPd上のメチル基が一旦Co上に移動し、Co上で炭素-金属間にCOが挿入したのち、再びPd上に移動することで生成物であるアセチルコバルト錯体を与えることをも明らかにした。
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