• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2001 年度 実績報告書

凝集系における状態間遷移を併なう溶質分子動力学の計算機シミュレーション

研究課題

研究課題/領域番号 12042226
研究機関東京工業大学

研究代表者

岡崎 進  東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (70194339)

研究分担者 三浦 伸一  東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (10282865)
キーワード振動緩和 / 分子動力学法 / 経路積分 / 影響汎関数 / 量子-古典混合系 / エネルギー緩和
研究概要

水溶液中のシアン化物イオンの振動エネルギー緩和に関し、緩和をもたらす溶媒の運動とのカップリングについて詳細に検討した。まず、影響汎関数理論を用いた解析からは、イオンの過剰エネルギーは、1-フォノン過程は寄与できず多フォノン過程により緩和していること、そしてたとえば2-フォノン過程としての2つのノーマルモードへのエネルギー移動は、小数の特定モードの組み合わせへと移動するのではなく、非常に多数のモードの組み合わせが少しずつエネルギーを受け取っているということが明らかとなった。さらに、ノーマルモードからの寄与を分子からの寄与に変換して解析すると、第一水和殻中にあるごく少数の特定の水分子が緩和に大きく寄与しているということが示された。一方、量子古典混合系近似に基づいたシミュレーションからは、溶液中での溶質の溶媒とのカップリングはランダムであり気相におけるような衝突的な短時間で強いカップリングは見られなかった。さらに、カップリングは時間とともに大きく変化しており、固相におけるような定常的な緩和とも大きく異なったものであった。そして、この一見ランダムに見えるカップリングも、ある一定の時間区間で積分するとある一定の緩和の傾向を示すという興味深いふるまいが示された。つまり、時間区間として100fsや500fsオーダーでは依然としてほぼランダムにしか見えないが、1〜2psの区間を考えるとある一定の傾向を持ち、そしてこの程度の時間オーダーで時間とともに緩和速度が変化していっている。この時間オーダーは水和殻の構造の寿命とほぼ同程度のものであり、溶液中における緩和の興味深い特徴を表している。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] T.Terashima, M.Shiga, S.Okazaki: "A mixed quantum-classical molecular dynamics study of vibrational relaxation of molecule in solution"J.Chem.Phys.. 114. 5663-5673 (2001)

  • [文献書誌] K.Shinoda, S.Miura, S.Okazaki: "A molecular approach to quantum fluids based on a generalized Ornstein-Zernike integral equation"J.Chem.Phys.. 114. 7497-7505 (2001)

  • [文献書誌] K.Shinoda, S.Miura, S.Okazaki: "A generalized Ornstein-Zernike integral equation study of atomic impurities in quantum fluids"J.Chem.Phys.. 115. 4161-4168 (2001)

  • [文献書誌] S.Miura, S.Okazaki: "Path integral molecular dynamics based on pair density matrix approximation : An algorithm for distinguishable and identical particle systems"J.Chem.Phys.. 115. 5353-5361 (2001)

  • [文献書誌] T.Mikami, M.Shiga, S.Okazaki: "Quantum effect of solvent on molecular vibrational energy relaxation of solute based upon path integral influence functional theory"J.Chem.Phys.. 115. 9797-9807 (2001)

  • [文献書誌] S.Okazaki: "Dynamical approach to vibrational relaxation"Adv.Chem.Phys.. 118. 191-270 (2001)

URL: 

公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi