研究課題/領域番号 |
12042229
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研究機関 | 総合研究大学院大学 |
研究代表者 |
松本 吉泰 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 教授 (70181790)
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研究分担者 |
渡邊 一也 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 助手 (30300718)
高木 紀明 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 助教授 (50252416)
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キーワード | メタン / 銅 / 白金 / 光解離 / 超薄膜 / 膜成長 / 光化学 / XPS |
研究概要 |
Pt(111)表面上に銅原子を蒸着し、メタンの光反応断面積が銅の被覆率や層数によってどのように変化するかを測定した。まず、X線光電子分光を用いて銅薄膜の成長の様子を測定した。XPSシグナルは蒸着時間に比例して増加するが、ある時点でその傾きが変化する。また、銅を蒸着した表面を240Kに保ち、これをCOにさらした後、Cl s強度を測定したところ、これは蒸着時間に比例して減少し、ちょうどこのブレークポイント付近よりも長い蒸着時間ではほぼゼロとなる。この温度ではCOはPt(111)表面にのみ吸着することができるため、これらのデータからちょうどブレークポイントのところで銅の第一層が完成したと判断した。そこで、メタンの被覆率、および、光反応によって生じ、表面に残存する炭化水素の被覆率が照射した光子数にどのように変化するかを、銅の蒸着量を変化させながら測定した。その結果、銅5.5ML蒸着した表面は清浄表面と異なる結果を与えることが明らかになった。メタンの消失に関する有効断面積はPt(111)清浄表面に比べて銅蒸着表面では2.6×10^<-20>cm^2と減少している。また、銅1MLにおける測定では、まだ初期的なものであるが、Pt(111)とCu(111)表面とのちょうど中間的な値をとるような傾向を示している。これは、一層目の銅原子がバルクのそれと異なる光反応性を有していることを示唆している。 一方、Pt(111)表面上にグラファイト単一層を形成し、これの占有、及び、非占有状態の測定を紫外光電子分光、多光子光電子分光によって詳しく調べた。特に、多光子光電子分光ではグラファイト単一層のσ^*本状態をはじめて観測することに成功した。これらの結果を総合して、グラファイト層と下地金属との相互作用がかなり弱いことが確認された。
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