本年度は(1)ヘリウムのクラスターモンテカルロ法を用いた研究、(2)ゲルのシミュレーションの2つのテーマについて研究した。 (1)2次元正方格子上のヘリウムのモデルに関して、クラスターモンテカルロ法を用いて、高速化を行った。グランドカノニカル法を用いて、このモデルの超流動密度を計算した。(2)化学ゲルは、薬学、医学の分野でも注目される、重要な材料である。我々は、実験で直接観測しにくい、モノマー単位の構造に注目する。モンテカルロシミュレーションで、ラジカル重合ゲルを生成し、その構造を観測する。 この研究では、化学ゲルに関する簡単なモデルを作成し、クラスターのパーコレーションを解析した。 我々のモデルでは、アクティブモノマーがラジカルにより重合を繰り返し、高分子を生成する。その過程でリンカーを取り込むことで、高分子間の架橋ができる。 ゲルの指標としては、パーコレーションの有無すなわち、クラスターの大きさが、系のサイズを越えるかどうかで判断した。モノマーの数が多い場合、リンカーが少ない場合は、小さなクラスター(1次元)のものが多く見られるが、リンカーが多くなるにつれて、3次元のクラスター1つに落ち着く。モノマー数が少ない場合では、様々な大きさのクラスターが乱立する状態である。 また、リンカー数とモノマー数を変化させた場合の、最終状態のパーコレーションの平均数をカウントして、相図を得た。
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