研究概要 |
「1」非相対論的基底関数の開発。 a)全エネルギーの誤差をそろえた基底関数の開発:H(Z=1)からLr(Z=103)迄完了。数値解との差はZnで最大でその値は0.00147a.u..であった。(Theoret,Chem.Acc.に掲載済み) b)重原子に対する分極関数の開発:Sc-Znの4p分極関数を決定。(Chem Phys.Lett.に掲載済み) 「2」相対論的基底関数の開発:H(Z=1)からXe(Z=54)迄完了。数値解との差はPdで最大でその値は0.0029a.u..であった。(投稿中) 「3」高温超伝導物質の電子状態:目的にかかげた、実験に近いモデルによる計算までにはいかずに、下記のモデルのもとで、高温超伝導物質YBa_2Cu_3O_7の様々の電子状態を検討するに留まった。 a)完全格子に対応するイオン篭に埋め込まれた(Cu_4O_2)(O_4Ba)(Cu_4O_4)Y。完全格子を持つ固体対応。 b)完全格子に対応するイオン篭に埋め込まれた(Cu_4O_1)(O_4Ba)(Cu_4O_4)Y。格子欠陥を持つ固体対応。 c)完全格子に対応するイオン篭に埋め込まれた(Cu_4)(O_4Ba)(Cu_4O_4)Y。格子欠陥を持つ固体対応。 O(1)に複数個の格子欠陥が在ると、CuO_2面上に空孔が複数個もたらされることがモデルc)により示された。さらに励起状態としてはエキシトン状態が基底状態のすぐ近くに存在し、更には安定な負イオの状態が存在することが示された。格子欠陥を持つ領域では電荷の揺らぎが起きやすいことを示している。(Phys.Lett.Aに掲載済み) 「4」イオン化合物のの電子状態:実験、理論をとわずに固体NaFのバンド構造は完全格子を仮定して解析されて来た。しかしながら例えば実験のイオン化エネルギーの閾値を調べると、7.6eVであり、多くの理論値が示す12-15eVとは大きな隔たりがある。ここでは「1」と同様のクラスターモデルを採用し、Na_<14>F_<14>^-を完全格子に対応するイオン篭、不完全格子に対応するイオン篭に埋め込み固体NaFのバンド構造を解明した。実験値との対応は完全と言って良い理論値が得られた。
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