水の可視光による分解を達成する上で、バンドギャップが(H+の還元準位とOH-の酸化準位をまたいていることは当然として)、より狭いギャップの無機材料(半導体)を開発することが最も重要であり、ペロブスカイトは、この目的において有望な物質群である。 多くの酸化物半導体の電子構造は、その構成元素の多様性にもかかわらず、原子価帯は、酸素の2p軌道、伝導帯は、金属のd軌道と、比較的単純な電子構造をもっている。一方、今までに、実験サイドからの経験的蓄積として、ある種の重元素を骨格に含む物質では、バンドギャップが、狭くなるということが知られている。本研究では、このような興味ある電子構造をもつ化合物群を中心に、系統的にバンド構造を計算することにより、バンドギャップを狭くする元素として、Bi、Pb、Agなどが有効であり、これらの元素の軌道が酸素の2p軌道と混成し、原子価帯のトップ位置に、現れるためであることを示した。これらの知見は、今後の材料開発をする上での指針となりうる。
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