研究概要 |
ベクトル量子化を用いた画像圧縮アルゴリズムを確立した。静止画像圧縮では,適応解像度処理によりA4・600dpiのカラー画像に対して画質を損なうことなく300分の1を超える圧縮率を実現した。また動画像圧縮では,1秒間に30フレームのQVGAサイズの動画像をストリーミング配信可能なPCIボードを開発した。さらに,無駄な演算を抑止して実時間でベクトル量子化するプロセッサを開発した。 ベクトル量子化コードブック空間情報処理と呼ぶ新しい情報処理アルゴリズムを用いて,顔画像による人物認識技術を開発した。具体的には,顔画像に対してベクトル量子化を行い,コードブックベクトルの使用頻度スペクトル情報を抽出することにより顔画像の人物特徴を抽出する手法である。44人分各5枚の合計220枚の顔写真を用いた認識実験において,100%の認識率を実現した。さらに,この技術を表情認識に適用した。怒り,笑い,標準の3種類の表情に対し,100%の表情認識結果が得られた。また,ケプストラム解析を用いた音声信号からの話者特徴抽出とベクトル量子化分類法により個人を認識する音声話者認識において,階層化マッチング手法によるベクトル量子化分類の高速化や前学習手法による認識率の向上を実現した。58人分各5回分の録音音声信号を用いた認識実験において,最大97%の認識率を実現した。 フレキシブルワイヤレスネットワークのダウンリンク技術として提案しているパケットSS-CDMA方式のために、ディジタルマッチトフィルタとインライン相関器の組み合わせによりワンチップモデムを設計した。FPGAを用いた試作により、伝送特性を評価した結果、1対1通信で理論値から1dBの劣化で通信可能であること、マルチコードによる26チャネルの多重化伝送可能であることを確認した。チャネル多重を用いることで最大10.4Mbpsの伝送が可能であることを示した。
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