研究概要 |
複数の人の顔を含むような複雑な自然画像を、高精度にかつ柔軟に、そしてリアルタイムで認識するシステムの実現へ向けて,今年度は画素並列型の領域抽出および特徴抽出アルゴリズムを提案・改良するとともに,それらを実行する集積回路を設計し,LSI上での動作を実証した。 1.領域抽出アルゴリズムの提案とFPGAへの実装 抵抗ヒューズによる大局的画像分割後に得られるエッジ情報を利用し,エッジで囲まれた領域を逐次的に抽出する画素並列動作型アルゴリズムを考案し,それを実行する回路を提案・設計した。回路は極めてコンパクトなので,画像分割回路に容易に組み込むことができる。抽出すべき領域数が一定の場合,処理時間は画素数の平方根に比例し,一般的なラベリング処理よりはるかに高速に処理できる。このアルゴリズムをFPGAに実装し,.30x30ピクセルで5個程度の領域数の場合,5マイクロ秒で処理できることを示した。 2.特徴抽出用ガボールフイルタ回路の設計・試作 昨年度提案したパルス変調方式ピクセル回路を改良して,2次元ガボールフィルタLSIを設計・試作し,2次元のインパルス応答をLSI上で確認した。試作チップは0.35ミクロンCMOSプロセスを用い,4.9mm角に12x24画素を集積した。これにより,ガボールフィルタによる実時間特徴抽出をLSI上で実現できる見通しを得た。 3.制御用FPGAボードの開発 試作チップの制御用として,PCIバスを利用するFPGAボードを開発した。今後,より実用的な画像処理LSIを設計・開発し,このFPGAボードを中心にリアルタイム認識システムの構築を目指す。
|