研究概要 |
複数の人の顔を含むような複雑な自然画像を、高精度にかつ柔軟に、そしてリアルタイムで認識するシステムの実現へ向けて,今年度は画素並列型の特徴抽出アルゴリズムを提案・改良するとともに,それを実行するLSIを設計した。また,大局的領域分割のための抵抗ヒューズネットワークをFPGA上に実装し,それを用いて準リアルタイム処理可能な自然画像からの顔・物体認識システムを構築した。 1.特徴抽出用ガボールフィルタ回路の新アルゴリズムの考案とAD融合方式LSIの設計 画素並列型の抵抗ネットワーク方式ガボールフィルタ回路を効率的に実行するアルゴリズムを考案し,回路の省面積化と処理の高速化を実現した。このアルゴリズムを,先に試作した4.9mm角に12x24画素を集積したLSIにより動作確認した。さらにこの結果に基づいて,ほぼ実用的な画素数である61x72画素を含むLSI(0.35umルール,チップサイズ9.8mm角)を設計した。 2.デジタル方式抵抗ヒューズネットワークの設計とFPGAでの実装 前年までに設計したAD融合方式LSIに加えて,より実現が容易で応用範囲が広いデジタル方式で設計を行い,FPGAに実装した。その結果,40MHz動作時において64x64画素の画像の大局的領域分割を20msで行えることを確認した。 3.自然画像からの顔・物体を認識するシステムの構築 FPGA実装による抵抗ヒューズネットワークによる大局的領域分割機能を利用して,自然画像から顔や本の表紙などの物体を準リアルタイムで分割・抽出し,認識するPCデモシステムを構築した。
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