研究概要 |
パルス変調信号を用いたAD融合回路アーキテクチャに基づいて,画素並列動作により実時間で自然画像の特徴抽出を実行し,自然画像からの顔・物体認識を実行する集積システムの構築を目的に研究した。認識処理のアルゴリズムとアーキテクチャとして抵抗ヒューズネット、ワークによる大局的領域分割処理,セルオートマトン方式の領域抽出処理,ガボールウェーブレット変換による特徴抽出を考案した。自然画像から顔領域を抽出するような大域的分割に対して,抵抗ヒューズネットワーク処理が他の方法より融通性の高い分割性能を実現できることを示した。これを,AD融合回路で実現し,抵抗ヒューズチップを試作し,基本動作を確認した。また,よりハードウェア化が容易でメモリ容量を削減できるデジタル回路方式を考案した。これをFPGA上に実装し,抵抗ヒューズ部の処理を約20ms(64x64画素)で実現した。セルオートマトン方式の領域抽出については,FPGA実装により30x30画素で5個程度の領域数の場合,5μsで処理できることを確認した。この結果,ラベリング法に比べて数10倍高速にでき,動画に対してほぼ実時間で画像の大域的分割・抽出を可能にした。また、特徴抽出のためのガボールウェーブレット変換を実行する抵抗ネットワークの回路構成を提案し,AD融合回路を用いて2次元ガボールフィルタLSIを設計し,0.35μm CMOSプロセスを用いて4.9mm角に12x24画素を集積した。試作チップの測定により基本的な2次元インパルス応答を得た。さらに,顔認識に必要な61x72画素の画像から4方向5周波数のガボール変換を演算するLSIを9.8mm角のチップに集積し,約40msの演算時間,消費電力約800mWを得た。
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