研究課題
これまで不可能と考えられていた、「キラルクロマトグラフィーでも識別出来ない、キラル誘導化試薬でジアステレオマーに誘導化しても不斉中心同志が離れすぎていてHPLCでもNMRでも識別出来ない、誘導化可能な官能基から遠隔位にアルキル分岐をもつキラル化合物のエナンチオマーの識別」に挑戦し、はじめにN,O間のゴーシュ効果を利用し分子のコンフォメーションを規制した不斉蛍光試薬2A1P-OTf(I)と1A2P-OTf(II)を創製し、アルキル分岐カルボン酸の不斉識別能を研究した。I、IIとも^1H-NMRではカルボキシル基から2〜11位までの分岐メチルの識別が可能であり、低温HPLCではIは2〜8位までIIは2〜11位までの識別が出来た。次にゴーシュ効果に依らず分子自身が100%キラルなゴーシュ・コンフォメーションをもつ2-ACH-OH(III)を創製し、キラル識別能を研究したところ、IIIは^1H-NMRでは2〜11位までODSを使った低温HPLCでは2〜18位までの識別が可能であり、C30カラムでは現在2〜24位までの識別が可能であることを明らかとした。また(R),(S)の溶出順序は2〜11までと12〜24位では逆転することを見いだした。天然物への展開として新規セラミドの絶対配置の決定、および新規グリセロ糖脂質S365Aの構成成分である12-メチルテトラデカン酸及び14-メチルヘキサデカン酸の絶対配置の決定を行なった。さらに、カルボン酸のみならず、アルコールおよびアミン用の遠隔位不斉識別試薬の開発を行なった。
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