研究概要 |
(1)ラチア生物発光の分子基盤を検討した結果、ラチアルシフェラーゼの精製に世界で初めて成功した。精製したラチアルシフェラーゼはSDS-PAGEおよびMALDI-TOFマスより分子量31,000の糖タンパク単量体の6量体(分子量約180,000)である事が判明した。また糖鎖の分子量は約2,000であることが明らかとなた。精製したラチアルシフェラーゼは合成した発光基質ラチアルシフェリンにより発光することが確認された。この反応による発光スペクトルは生物発光と完全に一致した。このことよりラチアの発光系における最小要素は酸素、ラチアルシフェリン、ラチアルシフェラーゼであることが示され、光のエミッターはラチアルシフェラーゼに内在していることが示唆された。 (2)ルシフェリン類縁体を化学合成し、発光活性を精査し、ラチアルシフェラーゼの基質特異性を検討したたところ、ラチアルシフェラーゼはラチアルシフェリンのシクロヘキセン環部を厳密による構造認識していることが判明した。また発光にはフォルミル基は必須の官能基ではなく、エノールエステル構造を有することが重要であること、ルシフェラーゼにはエステラーゼ活性があること、エステル部が加水分解し酵素内でエノラートアニオンが生成することが発光反応に必須であることなど、発光反応機構を解明する上で重要な新知見を得ることが出来た。
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