開花に伴う香気生成・発散機構および開花機構の分子レベルでの解明

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12045230
• 研究種目: 特定領域研究(A)
• 研究機関: 静岡大学
• 研究代表者: 渡辺 修治 静岡大学, 農学部, 教授 (90230979)
• キーワード: バラ / 香気発散 / 開花 / ローフェニルエタノール / 生合成 / C_<13>-ノルイソプレノイド

研究概要

開花に伴う香気発散と光周期:自然条件下では香気を一過性に発散するRosa.damascenaでは12-12時間明暗条件下、一定気温では明条件に香気発散量が高く、暗条件で低いという一定のリズムが観察された。このリズムは光り周期と発散・生合成が同調していることを示唆している。バラの開花に伴う 2-phenylethanol、配糖体の消長:R.damascena Mill.およびRosa"Hoh-Jun"で開花前にde novo生合成された2-phenylethanolはそのglucopyranosideへと変換、蓄積し、開花後期にはこれが加水分解されて2-phenylethanolを生成することが示唆された。同時に重水素標識体をRosa"Hoh-Jun"の蕾に吸収させ、発散・蓄積される2-phenylethanolへの重水素の取り込みを確認した。2-phenylethanolの生合成経路の検討:[^2H_8]L-phenylalanineをR."Hoh-Jun"の蕾に吸収させ、重水素の標識パターンを基に生合成経路を推定した。β-Damascenoneの生成とカロテノイド分解酵素:β-Damascenonはバラ精油中に含まれる微量香気成分である。すでに平面構造が判明している前駆体の一つを立体選択的に合成し、絶対構造を明らかとした。スターフルーツ、クインスフルーツからこれらC_<13>-ノルイソプレノイド系香気成分生成に関わると考えられるカロテノイド分解酵素を単離した。さらにこれらの酵素がβ-caroteneからC_<13>-ノルイソプレノイドであるβ-iononeを生成すること、バラの花における類似酵素の存在を明らかにできた。

研究成果

• [文献書誌] Watanabe,S., et al.,: "Isolation and identification of 2-phenylethyl disaccharide glycosides and mono glycosides from rose flowers, and their potential role in scent formation"Biosci.Biotech.Biochem.,. 65・2. 442-445 (2001)
• [文献書誌] Yamano,Y. et al.,: "Stereo-controlled synthesis of optically active β-P-glucopyranosides of 3-hydroxy-7.8-didehgdro β-ionol"Chem.Pharm.Ball.,. 48・12. 2017-2018 (2000)
• [文献書誌] Watanabe,N. et al.,: "Identification of βdomascenore progenitors and their biogenesis in rose flowers (Rose damascena Moli)"Ioi "Caroteroid-derived aroma compounds", ACS Symposium Sories. (印刷中).