研究課題/領域番号 |
12045243
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村田 道雄 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40183652)
|
研究分担者 |
吉田 学 東京大学, 理学系研究科, 助手 (60301785)
|
キーワード | アンフォテリシンB / ポリエン抗生物質 / 作用機構 / クロスリンカー / コレステロール / エルゴステロール |
研究概要 |
抗生物質・アンフォテリシンB(AmB)は、現在でも感染症治療に広く使われている。その抗真菌作用は主に細胞膜におけるイオンチャネルの形成により発現するとされており、選択毒性は膜含有ステロールの分子認識の違いによって説明されている。本特定領域研究では、AmBによって形成されるイオンチャネル複合体の構造解明を目的とし、AmB同士、AmBと脂質分子間の連結分子を調製することによって分子会合体を再現し、主にNMRを用いて構造を詳細に解析することを目的とした。 AmBのイオンチャネルを安定化する目的で、二量体を合成して生理活性や会合状態を調べた。その結果、AmBのアミノ基をアミノアルキル化した後に連結した化合物は非常に強い溶血活性を示した。また、なかにははリン脂質リポソームを用いたカリウムイオン流入実験において、AmBと同様のエルゴステロール依存性を示したものもあったので、脂質膜中でAmBと類似したチャネルを形成していると考えられる。また、二量体のCDスペクトルでは、リン脂質膜に結合することによって、水中より顕著に大きな分裂型Cotton効果が見られ、また、この分裂幅はエルゴステロール膜中において、コレステロール膜中よりも顕著に大きくなった。この結果は、エルゴステロール膜中でヘプタエン部分が近接した分子会合構造を取っていることを示している。AmB-テロール間の分子認識機構を調べる目的で、各種AmB-ステロール連結分子を調製した。エルゴステロール連結体の化合物は最も強い活性を示した。その活性は、コレステロール連結体より顕著に高いことから、連結体においてもエルゴステロールに対して特異的な分子認識が保持されているものと考えられる。現在、二量体あるいはステロール連結体の^<13>Cもしくは^<19>F標識体を調製しており、固体NMRによる距離測定によって、会合体の構造解析を進めて行く予定である。
|